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〜社会の中で,弁護士ができるコト。〜


分科会C

メディアと市民と政治圧力〜NHK番組改編慰謝料請求訴訟をめぐって

講師:日隅一雄弁護士
   (第二東京弁護士会・NHK裁判弁護団・元新聞記者)


■ 講師の方の紹介

NHK裁判弁護団のおひとりである,第2東京弁護士会の日隅一雄(東京共同法律事務所)先生に講師をしていただくことになりました。日隅先生は,元新聞記者で,他にも,NHKの受信料不払い問題で,NHKが受信料の支払いを求めた訴訟の被告を支援するために,中心になって弁護団を結成されておられるなど,NHK問題の第一人者として,ご活躍されています。

   もうおひとりの講師の方として,在野のマスコミ関係者を予定しております。

 

■ 事件のあらましと経過

女性国際戦犯法廷を題材にしたNHKETV特集2001「戦争をどう裁くか」の第二夜「問われる戦時性暴力」(2001年1月30日放送)の番組内容に関して,放送前日の29日午後,当時のNHK幹部が,自民党国会議員の安倍晋三(現首相),中川昭一(元農相)に,議員会館まで呼ばれ,その席で両議員から,「一方的な放送はするな。」「公平で客観的な番組にできないならやめてしまえ。」等と,放送中止を求められました。こうした圧力を受けて,当初,旧日本軍の性暴力を告発する女性国際戦犯法廷に焦点を当てていた番組は,肝心の元従軍慰安婦の証言シーンが大幅にカットされ,女性国際戦犯法廷が下した結論もカットされ,さらに,44分枠の番組が40分に短縮されて放送されました。

そこで,女性国際戦犯法廷を主催した国際実行委員会のメンバー「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(バウネット)と同代表(当時)松井やよりが原告となり,番組制作に関わったNHKと,下請けのNHKエンタープライズ21,孫請けの番組制作会社ドキュメンタリー・ジャパンを相手に慰謝料を請求する訴訟を提起しました。

東京地裁は,NHKの改編は「編集の自由」の範囲内としてNHKの責任を不問にしましたが,東京高裁は,NHKの本件番組の制作・放送については,憲法で保障された編集の権限を濫用,逸脱したもので,放送事業者に保障された放送番組の「編集の自由」の範囲内のものであるということは到底できないとして,NHKに慰謝料の支払いを命じました(現在,最高裁で審理中)。

 

■ 最後に

政治権力と「天下のNHK」の権力が合わさるとどんなことになるでしょうか。制作現場の表現の自由が上層部の圧力によって侵害されると,真実の報道は制限され,市民の知る権利に甚大な影響を与えることは必至です。先人達が血を流して作り上げてきた,表現の自由は何のためにあったのか。もう一度その意味を,「報道の自由」問題のエキスパートの先生方と一緒に,この分科会を通じて考えてみませんか。


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